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第45回

「TPPと原発再考」

中部経済同友会は毎月機関紙を発行し、講演会の要旨を載せています。10月号にびっくりする記事がありました。肯定的な驚きですが・・・。
一つは田母神俊雄氏が『日本再生のために』の中で語られたTPPに関することであります。「米国が求めるTPPへの参加は日本の国策の自由を失い、経済が弱体化する。先人達が努力して得た関税自主権も捨てることになる。」この発言には深く共感致します。
もう一つは『企業経営のイノベーション』との演題の中でアイリスオーヤマ大山健太郎社長が原子力発電への再考を述べておられることです。
「中部電力に比べて、関西電力には沢山の原発があるが、関西電力の電力料金は安かっただろうか。世界比較では日本と韓国の原発への依存度はほぼ同じだが、韓国の電気代は3分の1である。石炭火力がコスト的に一番安いうえ、二酸化炭素の排出問題に対しても、日本はその処理技術で一番優れている。」「安全第一の観点から、もう一度、考える必要がある。日本の電力消費量の用途を見ると全体の57%はモーターである。冷蔵庫もエアコンもインバータを搭載すれば、消費電力が3~4割も減る。また、全体の16%は照明に使われ、LED化が求められる。賢い生活をすれば、原発がなくても産業政策はできるはずである。」これまた素直な意見ですが、経済至上主義の点から、かき消されてしまいがちです。

良いまともな意見が消されていく流れを『帝国海軍の不敗神話と原発の安全神話』として作家の井沢元彦氏が講演の中で語っておられます。「昭和16年、日本は米国に宣戦布告をした。このとき近衛首相は山本五十六海軍次官に勝てるかどうかと尋ねた。1年位は暴れて見せるが、後は保証できないと発言した。このような間接的表現ながらも、負けると伝えた結果、連合艦隊指令長官に降格された。」「まるで帝国海軍の不敗神話のように、原発は絶対に事故を起こさないといった安全神話を唱えた者だけが組織の中枢に残り、そうでない者は左遷されてしまった。」

以上、3氏のお話しは、いわゆる経済界の主張やマスコミの主流意見とは違っているように思いますが、このような考えや警告が生かされてゆくことが望まれます。理系出身の経営者が云っておられた遺伝子組替えと核分裂はやるべきではないとのことが頭から離れませんが、もっと自然に対し慎み深い姿勢があってもと思います。