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Column Archiveコラムアーカイブ

第28回

「0  5  30」

74歳ということは、すぐに消えてもおかしくない、それなら0年です。男性の平均寿命は79歳といわれていますから、これだと5年であります。センテニアンという言葉にあやかることが出来れば30年、104歳もあり得ます。しかし、いずれにしてもそんなものです。 受験生型の人生を送ってきましたので、どちらかといえば自分の好みよりも可能性というか確率の高いものを選んできたとも云えます。そして集中です。
この年になってみると妻には気の毒なことをしてきたように思えます。朝早く起き、帰りは遅い、家にいても家事の手伝いをしない、いまなおこのクセが完全には抜け切っていません。 その点、若い人はワークライフバランスといいますか、仕事も人生も楽しく進めようとしています。ワクワクドキドキ系が世の中をリードしていくのでしょう。長い歴史、広い宇宙に比べたら一人の生涯はまことに微細なものであります、しかし何か全体に対して影響している筈です。
そうであれば、暗いよりは明るい方が、苦しいよりは楽しい思いの方が望まれます。
ところで、先日、アーカイブこころの時代に森毅先生のインタビューが放映されていましたが、それを見て大層感ずるところがありました。テーマはゆとりでした。先生は定年後あえて、私大で教師をつとめることをやめて、現役中充分には出来なかった事、エッセイの執筆、数学史の研究、若い人への数学の教え方、俳句作りなどをやっているという具体的なことも話しておられました。 第一線を離れたら、若い人に負担をかけないことで、やり足りないこと、本当にやってみたかったことをやるのはいいように思います。若い人のためになること、役に立つことであれば、なお良いことです。