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第7回

「科学だけでは」

科学技術の進歩のおかげで、人間は楽が出来るようになり、ひもじいという言葉は忘れられてしまいました。
40年前、日本青年会議所の機関紙は「30億」という名称でしたから世界に人口はその位だったのでしょう、現在は60億人を超えていると思われます。

生活の向上と人口の増加で生産高はうなぎ昇りに増大し、毎年売上をはじめあらゆる数字を大きくすることが常識のようになりました。
とくに経営においては生産性すなわち効率が至上のものとなり、今もごく一部の大きな企業は拡大と利益の飽くなき追求を続けています。

しかし、地球的に考えると資源をゴミに変えて困った状態をますます加速させているだけとも考えられます。
世界の力のある指導者はひたすら利益の極大化を求め、生物として、種のあり方、行く末には関心が無いように見えます。

たしかに科学によって先進国では飢餓から開放され自然に存在する病原菌からも逃れえたかに思われています。
従って、もっともっと科学を進歩させれば何事も解決されると考える人も多くいます。
でも楽をしたり快適になるために、まわりをおかしくし、自分自身も傷めつけていることも少しづつ認識されるようになりました。
どうも科学だけではどうにもならないのではと思う人も増えています。
どんな抗生物質にも耐性菌が出来てどうにもならない、人間にとって不都合な病原菌をやっつけようと抗生物質を作っても、すぐ変化して一層強力になって向ってきます。
これと同様、科学で人間は全てを都合良く仕向けようとしますが、もっと大きな働きによって否定されてしまうようです、その結果いわゆる文明が発達する国では人口が減ってしまう。
もっと例をあげれば、化学肥料で作物は緑濃く早く大きくなりますが、どうも実際には病気に弱く生命力の低い見掛け倒しのものが多いようです。
自然に力強く育った作物と比べると成分なども乏しいようです。そうした食物で暮らしている人も同じように芯は弱いのかもしれません。
はっきり判りませんが、猛烈に増えているアレルギーもこうした環境の変化や食生活の変化、作物自体のもつエネルギーが低下していることなどが大いに関係しているのではないでしょうか。

ところでこうした中で私達中小企業に働く者はどう考え、どう活動するかです。
かつて「スモール イズ ビューティフル」という本がよく読まれたことがありましたが、やはり今もただよっている閉塞感を拭い去るのは「小さいもの」だと思います。
効率はまことに大切ですが、本物とか心のこもったものが人間には何よりも大事です。

その為には喜んで仕事をする、好きなことにうちこむ、やっていることが大好きになることです。
あの「大地」の作家パール・バックが良いことを言っています。
「仕事をする喜びの秘訣は、たった一言の中に含まれている、それは卓越である。一つの事をどうしたら良く出来るかを知るには、そのことを楽しむことである。

せっかく運命的に出会った今の仕事、それならとことん好きになり心の通ったものにすることです。
自分のやっている仕事に卓越する、想像しただけでも嬉しくなります。

(2005/4/1)