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第35回

「或る80歳」

1931年生まれの楠美さんは、今年3月の総会で80歳になるから監査役を辞めたいと申し出られました。
取締役会では少し慰労金を贈ることを決めましたが、本人から、それは結構だからその分会社から東日本へお見舞金を送ってほしいと申し出があり、その意に添うようにしました。

何でも自分で作ることが大好きな人です。’70年セントラル製粉本社工場の前身である布袋食糧港工場を、設計・杭打ち・鉄骨加工から全て指揮して、僅か50百万円で完成してしまわれたのには驚きました。その後も、アナログデバイセズ社のコンピュータを使って、精選タンクの制御をしたり、他社の飼料工場に活かすなど、ソフト作りも得意でした。
プログラマーの資質として大切なのは、自然界の全てに関心を持つ好奇心だと、本人から聞かされたのが印象に残っています。確かにご自身も動植物に深い興味を今も持っておられます。

そんな楠美さんが現在はどうしておられるか訊いてみたくなりました。やっぱり喫茶店へよくゆかれます。以前からあるいくつかのお店がお気に入りのようで、共通しているのはテーブルが大きいことです。パソコンを拡げていてもコーヒーが置けるから良いのだそうです。
最近のパソコンは無線でつながるし、バッテリーが何時間ももつから便利なようです。ただ以前なら長時間集中できたのに、1時間位であきるとのことです。80歳なら当然だと思いますが。でも場所を変えるとまた続けられるそうです。昔なら寝ていてもプログラムが頭に浮かんできたのに、と本人はちょっとご不満のようです。

63歳で取締役退任後も、現役後輩から尊敬され、質問があれば適確にアドバイスが出来るいい姿です。いつ逝ってもよいとも言われています。少しもこわくないそうです。よい80歳だと思います。