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第57回

「マクロビオティック」

マクロビオティック2月号に、久司道夫先生が2014年12月28日・享年89歳でご逝去されたと報じられていました。
日本CI協会勝又会長が陰陽偶感に次のように書かれています。
『マクロビオティックはまったく初めてという婦人会での講演でしたが、聴講の皆さんが魅入られたように
陰陽や宇宙の秩序の話に聞き入っていた情景には、本当にビックリしました。
あの時私が受けた衝撃が何だったのか、長い間謎でした。
世界平和のために一人でも多くの人にマクロビオティックを伝えたい、
そんな先生の想いが「最高判断力」となっていたのではないかと思うようになったのはずっと後のことでした。
1999年のリマ先生100歳の誕生パーティーには、たくさんのお弟子さんをつれて参加して下さいました』と。
久司先生は東京大学卒業後1949年アメリカに渡り、その後世界平和のためマクロビオティックの普及につとめられました。
20数年前、名古屋や東京で先生の講演をお聞きした事が思い出されます。
マクロビオティックは一物全体食でありますから有機食品が前提であります。
日本の味噌、しょう油、海藻類が欧米のマクロビオティックのために輸出されますが、
オーガニックの認証機関の認定が必要です。
しかし、この頃まだ日本には認証機関がありませんでした。
久司先生はそうした世界で認められる組織を日本にも作ろうとご尽力下さいました。

この機会に日本発の素晴しいマクロビオティックについて、
日本CI協会の1993年の刊行物に載っているところを記しておこうと思います。
その歴史は1928年夏、桜沢如一先生が北海道で聞かれた「第1回無双原理大学講座」に始まり、
爾来、日本はもとより欧米にまで広がり今日に至っております。
世界中の民族がイデオロギーを超えて、身土不二・一物全体の原則を守る方向で、共に助け合い、
健康と幸福を育て合う世界の創生を目指しています。
マクロビオティックは食生活法でありますが、その原則は次の如くです。

陰陽:
宇宙のすべてのものは陰陽のバランスによって成り立っています。
広がる力、遠心力が陰、縮む力、求心力が陽。
元素ではカリウムが陰性、ナトリウムが陽性であり、
カリウム分の多い果物などを摂れば体が冷えて緩み、ナトリウム分の多いものを摂れば体が暖まりひき締ります。

一分全体:
生命は、その個体全体でバランスを保っています。
野菜は皮をむかず、アク抜きやゆでこぼしをせず、葉の部分も根の部分も調理します。
魚なら頭からまるごと食べられるものを、穀物は精白していないものを食べることで、
食物本来の生命力をいただくことができます。

身土不二:
身体と大地は一元一体であり、人間も環境の産物であるということ。
暑い地域、暑い季節には陰性の作物ができ、
逆に寒い地域、寒い季節には陽性の作物が出来るため、その土地、その季節の物を常食することで、
身体は環境に調和し、人間はもっともよく生かされるのです。

穀食:
人間の歯の構成を見ると、植物を噛み砕くのに適した臼歯が32本中20本あり、約60%を占めています。
また陰陽のバランスからみても、末精白穀物は安定した中庸の性質のため、穀物を主食とすることで、
どんな環境においても身体や精神のバランスを保ちやすくなります。

上記の4つの原則から出ていきますが、久司先生が話された、
人間から出来るだけ遠いものを食する、人間の体温で溶けない脂肪を避ける、
単糖類を避けて多糖類をとるなどは理にかなっているように思います。
人間の体内において常温原子転換がおこされていると説かれた久司先生のお話はもっとお聞きしたいことでした。

2015.5.24 福田清成