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第15回

「卒業生に贈る言葉」(2010年3月1日 滝高等学校卒業式にて)

私立大学や国立大学前期の試験が終わり、大方の皆さんにはしばし なぎの時間だと思いますが、とにかく高等学校をめでたくご卒業になりおめでとうございます。

世界的に金融危機が襲い 2~3年経ち、今ゆるやかに回復に向かっていると云われていますが、中国、インドの成長によるところと各国のおどろく程大幅な財政出動によるものであり、この先に確乎とした見通しがあるとは思えません。おととしの中東やロシアの原油高騰による熱狂は何であったかと思われます。

この侭ではいけないと多くの人人が考え始めています。この先に明るい筋道を作らなければいけません。私も微力ながら努力したいと思いますが、皆さんの様な若い人が自分で理解し納得して成功を確信して行動しなければなりません。

小さく閉じこもって「自分だけ」「今だけ」良くて「お金さえあれば」良いなどと思っていては、それこそ世の終わりです。本校の卒業生は世の中の中核としてリーダーシップを発揮して、日本を 世界を良いものにしなければなりません。

最近 私は加地伸行教授が解説された渋沢栄一の「論語と算盤」を知ったのですが渋沢栄一は 1840 年に生れ 1931 年に 91 歳で没していますが、この元の本は 1927 年に出されています。江戸時代以来道徳教育を受けていたのは武士層だけであって、農工商はそれが乏しく、特に商業界は収益だけが目的に拝金主義になってしまっています。しかし これではいけない、とし、「今や武士道は移してもって、実業道とするが良い」と述べています。

1945 年第二次世界大戦に敗れてから、軍国主義を排するのは良かったが、同時に指導者にとっての資質というものがおろそかにされ、利己的な拝金主義がよしとされるようになってしまったと思います。リーダーには利他の精神が一番大切です、是非この気持ちを忘れず 向後の人生を送って頂きたいと思います。

先月親しい友人の息子さんが結婚された時に贈った言葉を皆さんにもお贈りします。元京大総長で脳科学者の平沢興さんの言葉です。

「今日もよし 明日も又よし あさっても よしよしよしで暮らす1日」です。
どうか幸せな人生を歩んで下さい。